ウィーン物語5 日本との違い

 国際学会やセミナーに参加すると共通点を確認

することのほうが多いのですが、大きな違いを

認識することもあります。今回も次の点で
驚かされました。

 

 *一つは“financial toxicity”ということばです。

その意味は「経済的な重い負担」といったところですが

使っていることばが “toxicity=毒性!” ですよ。
すごくキツい表現ではありませんか?

プレゼンターの造語だと思ったのですが、調べたら
ちゃんとNCIのサイトにも定義が掲載されていました!!

 

日本でもがん治療の経済的負担は小さくはありませんが
保険制度のおかげで、標準治療を受けていれば医療機関

への支払いは、“毒性”なんてことばを用いるほどでは
ありません。本当にありがたいです。
周辺的出費は思った以上に嵩みますが・・・ブツクサ

  

 

*また“Euthanasia”を明確に標題として掲げたセッション
があったことも驚きでした。
「がんのケア」という問題の重みを感じざるを得ません。

 

がんと診断された方の全体の5年生存率は医療関係者の

努力もあり60%を超えました。裏をかえせば40%は

5年以内に亡くなるわけです。そして、どのような最期

を過ごしたいかというのもサポーティブケアの大きな

テーマです。
しかしながら、日本では、まっとうな終末期ケアですら

口にすると「見殺しにする気か?!」と言われる始末。

ましてや、“Euthanasia”となると法律や倫理基準も整備
されておらず、公には口にしにくい状況。
ですから1000人以上が参加する大きな学会で、明示的に
“Euthanasia”が議論されているのは衝撃を受けました。

 

それで、そのセッションに参加したのか、というと
同時並行でケモブレインのセッションがあったので
そちらに出ていました・・・(←なぁんだ)

 

でも、個人的には“究極の終末期緩和ケア”として
日本でも“Euthanasia”が議論されてほしい、なんて
思っております。(あくまでも自分の主観)