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しっぽも一役

 

金メダル級に能天気な私も、時には自分の力不足や世の不条理に
落ち込むことがあります。

 

また、お客様のなかに、病気になって周囲に迷惑をかけて、自分は
存在価値がないと落ち込む方が少なからずおられます。

別に誰に言われたわけでもないのに、そう思い込んでしまうのだそうです。

さて、落ち込んだ時、私は永井隆氏*が自分の小さな娘さんに頼まれて
描いたと言われるこの絵を思い出します。


永井氏は、最初、わざとしっぽのないブタの絵を描きました。
娘さんは、「これ、ナーニ?」

そこで、「よしっ!」と言ってしっぽを書き足したら、ブタとわかって
娘さんは喜んだそうです。

 

ただ、コレで終わらないのが、永井隆!絵に「しっぽも一役」

と書きました。

しっぽのように「一見役に立たないようなもの」にもちゃんと役割がある、
世の中に意味のない存在なんてない・・・それを5歳くらいの娘さんに
教えようとしたそうです。


この絵を見ると 

「ブタのしっぽですら、何かの役割が与えられている。それなら、こんな私だって
何かの形で他人様のお役にたっているかもしれない。」

と思えて、ちょっと元気が出るのです。 

 

*長崎大学の医師、自身被爆のため重症を負うが生き残った職員達で

グループを結成し、被爆者の救護活動を行った。その後は放射線医療の

研究と被爆の影響で白血病を発症し、1951年病没。原爆被害に関するエッセイ多数。