このブログにアクセスする方は、弾性着衣の療養費還付の制度を
ごぞんじだと思います。
リンパ節郭清を伴うがんの術後に発生した手足のリンパ浮腫治療
目的で弾性着衣を購入した場合、代金の一部(通常7割)が健康保険
から払戻される制度です。
原発性(先天性のリンパ管異常など)リンパ浮腫の患者にも療養費
還付が認められる方向にあるのは、先日お知らせしたとおりです。
患者にとっては大変ありがたい制度なのですが、運用がイマイチ
お店も困ってしまうことがあります。
*手術日がいつかわからないので指示書は書かない
リンパ浮腫は、術後10年以上経ってから発症するケースも!
すると、なかには「手術日がわからないから指示書を出さない」
先生もいらっしゃるとか?
でも、厚労省の指示書雛形の注意書きには、「他院で治療などの
事情で特定できないときは何年何月頃という記載でもよい」と
わざわざ書いてあるのです。先生方、柔軟な対応をお願いします。
*リンパ節郭清を伴う手術をしていないから指示書は書かない
診断時IV期だったため手術不適応だがリンパ管転移のためリンパ浮腫が出た方は、主治医が
「リンパ節郭清していないからダメ」と指示書を書いてくださらなかったそうです。
文言を素直に読めばその通りですが、しかし、今は通達の出された平成20年とは異なり
なるべくリンパ節郭清をしない傾向にあります。それでもリンパ浮腫を発症することはあります。
治療のトレンドに鑑みると「リンパ節郭清をしていないから」指示書を出さないというのは
適切な対応なのでしょうか?がんの治療の合併症として発症したリンパ浮腫の患者を支援する
という制度目的に反しているのではないでしょうか?
*同じものでないと「洗い替え」に該当しないので、不支給
これも、おかしな話です。たしかに「洗い替えのため」という文言はありますが、
「同じ商品」とはどこにも書いていません。
また、その日の体調や気象条件によりベストフィットする製品は異なります。
プロ患者さん(?)は、体調やお天気により巧みに「使い分け」をされており、
医療者もそれを合理的な使用と認めていらっしゃいます。
それを弾性着衣のことを具体的に知らない保険組合さんが通達の文言を拡大解釈して
突っぱねるのは、むしろ制度趣旨に反するのではないでしょうか?
制度運用に関わる方(医師、保険組合さん)には療養費還付の制度目的を考え
柔軟な対応をお願いしたいです。
療養費の還付に関する通達&指示書雛形
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